近年、テクノロジーの進化に伴い、リモートプロダクションを用いた配信が一般的になってきました。特に注目されるのは、スマホカメラを活用したリモートプロダクションの取り組みです。
スマホを利用してのリモートプロダクションの利点としては、現地にはスマホカメラ、Wifi AP、パソコンのみを持ち込み、映像操作はリモートセンターに送ることで、現地に多数の機材発送・設置する必要なく最小限の機材 or スタッフのみで配信対応を行うことが可能となります。
今回はこの方法を採用し、「2023年全日本卓球選手権大会(団体の部)」の配信を実施いたしました。本記事では、佐賀県様とユニゾンシステムズ様との共同プロジェクトの中での実際の運用について詳しく解説します。
配信システムの構成詳細
配信に使用されるカメラは、iPhoneとスマホアプリ LM-Cam を組み合わせ、試合の様子を映すための1台と、得点状況を伝えるためのもう1台を設置し、合計4試合場を同じ設定で配信。これらのカメラ映像は、光回線を利用して佐賀県基山町から東京渋谷にある弊社のリモートセンターへと映像を伝送。
渋谷のリモートセンターでは、ハイスペックPCが設置されておりvMixにて現地の映像を受信し、ワイプの設定、ふた絵の挿入、テロップなどのCGをつけYoutubeへの配信を行いました。
【実際の映像はこちら】
カメラの配置
会場には、4つの面それぞれに2台ずつ(試合用と得点用)、合計8台のiPhone/LM-Camが配置。安全対策として、カメラは手摺りにしっかりと固定され、さらに落下を防ぐためのワイヤーを取り付けています。
スマホカメラの大きな利点
スマホをベースとした配信システムは、その手軽さと柔軟性で多くのメリットを提供します。
デジタルカメラを使用した際に発生するSDIなどの引き回しや電源供給の必要がない点は、設置や移動の手間を大幅に削減します。これにより、運営側も非常に効率的に作業を進めることができます。
今後の課題と展望
リモートプロダクションは多くの利点を持っていますが、まだ完璧とは言えず現地での監視業務の必要性や、操作PCの数による制限など、まだまだ改善の余地が存在します。
しかし、以前ではスマホでのライブ配信すら難しかったもの、この年でスマホでも安定的な運用が可能となってまいりました。
複雑で費用もかかり、専用機材が多数必要なイメージのライブ配信ですが、ご紹介した運用方法をとることで手軽にライブ配信を行うことができるので是非参考にしていただけますと幸いです。